はじめに
「この物件、修繕履歴はありますか?」
収益物件の売買ではよく聞かれる質問ですが、実際には修繕履歴が十分に残っていない物件も少なくありません。
では、修繕履歴は誰が作り、誰が保管するものなのでしょうか。今回は、不動産投資を行ううえで知っておきたい「修繕履歴の管理」について解説します。
修繕履歴を残す義務はある?
結論から言うと、一般的な戸建住宅や一棟アパート・マンションのオーナーには、修繕履歴を作成・保管する法的な義務はありません。
そのため、現場では以下のようなケースが珍しくありません。
- 工事はしたが書類を処分してしまった
- 見積書だけ残っている
- 口頭で依頼したため記録がない
- 前オーナーから引き継がれていない
しかし、修繕履歴がないことで購入希望者や金融機関が建物の状態を判断しづらくなり、売却時や融資審査で不利になるリスクがあります。
修繕履歴を残すのは基本的にオーナー
修繕履歴の管理は、建物の所有者であるオーナー自身が行うのが基本です。
工事を依頼した際には、次のような資料をまとめて保管しておきましょう。
- 工事見積書
- 契約書
- 請求書・領収書
- 工事完了報告書
- 保証書
- 使用した材料の資料
- 工事前・工事中・工事後の写真
これらを時系列で整理しておくことで、建物のメンテナンス履歴が一目で分かるようになります。
管理会社が記録している場合もある
賃貸管理会社に管理を委託している場合は、共用部の修繕や設備交換の履歴を保管していることがあります。
- 共用灯交換
- インターホン更新
- 給水ポンプ交換
- 排水管洗浄
- 消防設備点検
- 共用部の補修工事
ただし、管理会社によって保管方法や期間は異なります。「管理会社が持っているはず」と思い込まず、オーナー自身でも二重で記録を保管しておくことが大切です。
工事会社も資料を保管していることがある
施工会社側でも、一定期間、工事に関する資料(見積書、工程写真、完了報告書、保証内容、使用材料の情報など)を保管している場合があります。
もし書類を紛失してしまった場合でも、施工会社に問い合わせることで再発行やデータ提供を受けられることがあります。ただし保管期間には限りがあるため、早めの確認がおすすめです。
売却時に困るのは「工事したけど証明できない」ケース
不動産売買の現場でよくあるのが、「5年前に外壁塗装をしました」と説明できても、それを証明する書類や写真が残っていないケースです。
購入希望者から見ると、以下のような疑問が残ってしまいます。
「本当に施工したのか?」
「どんな塗料を使ったのか?」
「コーキングは打ち替えたのか?」
「保証は残っているのか?」
証明できる書類が1冊あるだけで、買主からの信頼性は大きく変わり、価格交渉や売却のスピードにも良い影響を与えます。
建築会社がおすすめする「修繕履歴ファイル」
マークスホームでは、オーナー様に「建物カルテ」のような形で修繕履歴をまとめることをおすすめしています。
【建物カルテの記録例】
| 項目 | 記録内容 |
|---|---|
| 工事日 | 2026年6月15日 |
| 工事内容 | 外壁塗装・シーリング打替え |
| 施工会社 | ○○建設 |
| 保証期間 | 10年間 |
| 使用材料 | シリコン塗料・変成シリコンシーリング |
| 写真記録 | 工事前・工事中・工事後の施工写真 |
このような形で記録を残しておけば、将来の売却時だけでなく、次回の修繕時期や費用の計画を立てる際にも非常に役立ちます。
修繕履歴は資産価値を守る「建物の履歴書」
人には健康診断の記録があるように、建物にも「履歴書」が必要です。修繕履歴がしっかり残されている建物には、以下のような大きなメリットがあります。
- 適切に管理されてきたことが一目で伝わる
- 将来の修繕計画や資金計画を立てやすい
- 買主や金融機関からの高い信頼を得られる
- 売却時の説明や交渉がスムーズになる
まとめ
修繕履歴は法律で義務付けられているものではありません。しかし、建物の資産価値を維持し、不動産投資を成功させるためには欠かせない資産です。
工事を行ったら「終わった」で済ませず、見積書・保証書・施工写真・完了報告書を一つのファイルにまとめて保管する習慣をつけましょう。
マークスホームでは、不動産売買はもちろん、建築会社としての視点から修繕履歴の整理や今後の修繕計画のご相談も承っております。建物を「長く価値ある資産」として維持するために、ぜひお気軽にお問い合わせください。


